九月歌会:題詠「君」
君 髙馬和子
ママー
オーイ
二度と聞けない
亡夫が呼ぶ声
四つ葉のクローバー 玉井チヨ子
新聞紙で
挟み押し花に
あとから
夕刊が無いと探す君
改札口で別れ際 大箭佐代子
グータッチ
涙ぐむ
八歳の君
その優しさ ずーとネ
十八才の君へ 守野純子
ロザリオありがとう
胸に掛け
祈ったわ
希望の光を
君は 私を見つけ 沙 羅
パッと笑顔になり
煙草の火を消した
いつもの喫煙所に
君は もういない
貧しくても 不美人でも 紫かたばみ
わたしにも
魂がありますー
200年の時空を越え
君(ジェーン・エア)に共感
孟嘗君の故事を 雅蘭洞
歌に詠んで
やんわり断った
清少納言の
手際たるや見事
熱戦の 武藤義子
君を思わず
応援する
テレビ画面に心迷うは
開催容認していないから
無策 旅 人
無自覚
無責任
君
権力から下りなさい
〈八月歌会欠席歌〉
眼瞑れば 一 歳
赫赫と
心*の闇 照らす *しん
赤光を
鬼火とはいわん
〈九月歌会欠席歌〉
自らを 一 歳
裂き披くごと咲く
白百合に
狂*れゆく君の *ふ
面影を想う