五行歌・池上サロン 歌会レポート






[42] 「五行歌」一月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年12月30日(木)23時30分10秒 92.37.105.175.ap.yournet.ne.jp  返信

レポート担当:大箭佐代子

 十一月一日(月)
 木々の葉が色づく秋を迎えゲストの菊地牧子さんも交えて十人の歌人達が集い和やかに歌会が開かれました。

  富士山を       紫かたばみ(一席)
  すべり台にして
  ぴゅーと
  冬が
  降りてきた

 「ぴゅーと」と楽しい表現、ユニークで気持ちの良い歌、童謡の世界、スケールの大きさ、子どものつぶやきを歌にした作品と皆さんの感想でした。作者のコメントは、急に冷え込んだ日に雪化粧した富士山がくっきり見えました。そんな姿をみて、いつか公園で聞いた「お山からぴゅーってくるんだよ」と言う幼子の言葉を思いだして、作りました。

  病む友の        武藤義子(二席)
  重たい言葉
  赫赫と燃える
  夕日に
  焼べたい

 赫赫との表現が素敵、重たい言葉、病む友の切なさも伝わってくる。焼べたいとの表現が素晴らしいと皆さんの感想でした。作者のコメントはいくつもの病を抱えた友のいらだち、くやしさ生死についての言葉が重たく抱えこめず赫い夕日に託す。

  孤独の          沙 羅(二席)
  原石を
  彫れば
  真の己
  顕れる

 型のみごとさ、歌のイメージがすごい、真面目に自分と向き合っている。作者の感じかたが正直である。皆さんの感想でした。作者のコメントは孤独を原石に見立てて彫っていったら自分の隠された部分にたどりつきました。

  ひたすら         旅 人(三席)
  朽ちていく
  切り株の
  傍らに
  ポッチリと芽が

 ポッチリが愛おしい、古い滅びていくもの新しいもの、世代交代、思ったことと言葉を一致させた。皆さんの感想です。作者のコメントは、何も語らず崩れていく大きな切り株から小さな芽! その愛しさを詠みました。
 




[41] 「五行歌」十二月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年12月 6日(月)16時58分58秒 119.140.150.119.ap.yournet.ne.jp  返信

レポート担当:旅人

 十月四日(月)
 今年初めて感染者が百人を下回ったとニュースが流れた。ほっとしながら歌会会場へ向かうと、歌人たちが集まっていた。ライン歌会が二か月続いたので皆さんと会うのは三か月ぶりだ。
 お互いの無事に安堵しながら、ライン歌会の感想・反省から歌会を始めた。声だけでも歌会ができるのは嬉しいが、やはり、顔を見て頷きながらの歌会が一番と一致。

  甘やかせば        紫かたばみ(一席)
  つけあがるくせに
  くじけたり 折れたり
  ついには 壊れたり
  心は取り扱い注意品

「心は取り扱い注意品」の言葉に、皆さん驚くやら納得するやら、ひとしきり心について語り合いました。作者は、甘やかすとつけあがるのは私の心で、折れやすいのは息子の心。本当に難しいですと語っていました。

  豊かな沈黙        雅蘭洞(二席)
  空虚な饒舌
  今の日本には
  一見豊かな
  底深い貧困

 「豊かな沈黙/空虚な饒舌」無駄がないスッキリした出だしに惹かれた、対比が鮮やかで作者の語彙の深さが感じられたなどの評がありました。作者は、物事は外面と、内面が全く反して居る場合があって、黙って居ても、内容が豊富な場合があること、また、子ども食堂を例にとって、日本が本当に豊かなのか問いかけてみたかったと語っていました。

  楓の          旅 人(三席)
  葉先
  二㎜が
  微かに
  染まる

 「二㎜」が効いている、短く纏めて見事との評がありました。作者は、染まっていく楓をなんとか表現したくて悩み続け、やっと二ミリの行きついたと語っていました。 



[40] 「五行歌」十一月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年11月 2日(火)09時08分41秒 45.133.243.49.ap.yournet.ne.jp  返信

レポート担当:旅人

 九月六日(月)ライン歌会
 午後七時から九時半まで参加者九人で、題詠「君」のライン歌会を開きました。ライン歌会も三度目となると慣れてきたのでしょうか活発な発言が続きました。
 欠席歌、一歳さんの題詠に素晴らしいと賞賛が多く集まりました。

  無策         旅 人(一席)
  無自覚
  無責任
  君
  権力から下りなさい

 オリンピック対策・コロナ感染対策、全てにおいてウンザリ、よくぞ言ってくださったの評がありました。作者は筆者ですが、オリンピック開催、後手後手続きのコロナ感染に、心底嫌気がさして東京を脱出しました。自発的にマスクを付ける国民に、無策の政府は似合いません。

  君は 私を見つけ    沙 羅(二席)
  パッと笑顔になり
  煙草の火を消した
  いつもの喫煙所に
  君は もういない

 五行の形が良い。空きが効果的、映画を観ているようの評がありました。作者は、愛煙家の彼との待ち合わせは、いつも喫煙所、在りし日の姿を偲んで詠みましたと語っていました。

  貧しくても 不美人でも   紫かたばみ(二席)
  わたしにも
  魂があります!
  二百年の時空を越え
  君(ジェーン・エア)に共感

 かつての文学少女たちが、口々に懐かしいと言い合っていました。作者は映画「ガーンジー島の読書会の秘密」の台詞の中で、ジェーン・エアと同じ言葉が好きだとあったので感激して詠んだと語っていました。皆さんと引用文の使用方法について話し合いました。

 三席のお二人は棒書きで紹介します。

  君/ママー/オーイ/二度と聞けない/亡夫が呼ぶ声    髙馬和子(三席)

  改札口で別れ際/グータッチ/涙ぐむ/八歳の君/その優しさ ずーっとネ   大箭佐代子(三席)



[39] 「五行歌」十一月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年11月 1日(月)21時28分15秒 45.133.243.49.ap.yournet.ne.jp  返信

レポート担当:旅人

 八月二日(月)ライン歌会
 八月二日(月)十九時から二十一時まで、九名でライン歌会を始めた。通常歌会の予定で会場も確保していたのだが、五回目の緊急事態宣言となったので、急遽ライン歌会に切り替えることとなった。
 始めは緊張して声も小さかったが、慣れるにしたがって、コメントもしっかりして、笑い声もおこり楽しい歌会となった。但し、事前に作品を配布し、採点して返却する事務手続きが必要であった。
 通常歌会を開くことができなくなった時の為に、池上サロン・ライングループを作っていたので功を奏した。司会は旅人。

  時の        沙 羅(一席)
  淘汰を経て
  残ったものが
  私の
  真実

 今在る自分が、結局私なんだと思うと共感の声が多かった。作者は、コロナの自粛生活で振り返る時間ができて、気づかされた私の真実を歌に詠んだと語っていました。

  何気ない      玉井チヨ子(一席)
  会話の中に
  人間の
  本質が
  見え隠れする

 同じ体験をしたと皆さんが賛同していました。作者は、思いやりの心や気遣いの心等は何気ない会話から見えてくると思ったので、歌にしたと語っていました。

  一人臥している日    武藤義子(二席)
  コトコトと台所に
  人の気配
  ただ それだけで
  心満たされる

 一人住まいは自分の音しかしない。体調が悪い時の心細さは言葉にできないくらいと皆さんが語っていた。作者は、体調が悪く臥せっていた時、お嫁さんの料理を作る音が嬉しかったので詠んだと語っていました。

 紙面の関係で、三席は縦書きにします。

  零れるほどの/真っ白な/山法師/一本/凜と立つ    旅 人(三席)



[38] 「五行歌」十一月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年11月 1日(月)20時54分46秒 45.133.243.49.ap.yournet.ne.jp  返信

レポート担当:コバライチ*キコ

 七月五日(月)
 歌会の前、有志でネパールレストランへ。蝶豆花の乾燥花弁を入れるだけで青く変化する水(無味無臭)と共に、ほどよい辛さの薬膳カレーを頬張ったおかげか(?)、歌会でも活発に遠慮なく意見が飛び交いました。

  イヴから       旅 人(一席)
  受け継がれた
  いのちの河
  絶えることなく
  女たちは受け継いでいく

 女たちが受け継いでいくものの総称として「いのちの河」と表現したことが、今更ながら新鮮。天地創造を思うような壮大な歌である。四、五行目の主語の捻れが気になるという意見も出たが、好評多数。世界中の女性は、ミトコンドリア・イヴと呼ばれるある一人の女性のミトコンドリアDNA(遺伝子情報)を受け継いでいるという説がある。核DNAと違い、ミトコンドリアDNAの特徴は母系遺伝をすること。NHKの番組で、母親から微かな細胞が胎児に伝わることを知り、驚いて詠んだ女性賛歌です、と作者。

  どのように      コバライチ*キコ(二席)
  微笑んだろうか 君
  夏が来て
  朴の木の花
  見上げる頃に

 一、二行目の展開が効いている。「君」とは誰か? 作者との関係は? そしてどれくらいの時間が経ったのか。ロマンティックな想像をかき立てる歌。男女の淡い想いを描いたシュトルムの『みずうみ』を思い出したという評も。朴の木は泰山木に似た大きな白い花を付ける。季節が廻り、一緒に見た花を見かけると、ついつい君を思い出してしまう。

  自然法爾*を   *じねんほうに  髙馬和子(三席)
  杖言葉に
  迷わず
  ゆっくり
  歩いて行こう

 あるがままの生き方、悟りを開いたようだ、肩の力が抜けている、心に沁みる等、多くの評者が作者の心持ちに共鳴した。「杖言葉」という言葉は五木寛之の本より。縁に従い、定められた運命のままに流れるように生きていこうと思う、と作者は静かに語った。



[37] 『五行歌』八月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 8月 1日(日)16時36分30秒 p5535120-ipngn11302marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:沙 羅

 六月七日(月)
 紫陽花が美しい季節になりました。歌の構成や一字の違いまで話しあえ、とても充実した歌会でした。二席も三席も二名でした。

  両脇を         沙 羅(一席)
  紫陽花で
  埋めつくし
  夢幻に誘う
  養源寺の道

 池上の知られざる紫陽花の名所、養源寺の光景を表現した歌です。地元のお寺ですので、皆さんご存じで、その光景にぴったりだと点が集まりました。作者は両脇という言葉が浮かんで得心したそうです。

  ダージリンに       旅 人(二席)
  摘みたてのローズマリー
  沸騰寸前の湯を
  ポットに注ぐ
  変わらない…日常

 落ち着かないこのコロナの時期にこそ、心のゆとりが欲しいです。作者は、紅茶にローズマリーを加えると、こくがでて美味しい! と言い、変わらない日常の大切さを詠みました。

  芽を出し        玉井チヨ子(二席)
  子孫を残す
  八つ頭
  朽ちていく
  最後の力で

 日常生活の中での観察眼が鋭いです。作者は、台所で忘れていた八つ頭が、芽を出す。子孫を残す。植物の生命力と自分自身の老いを考えたとのことです。

 三席は歌のみ紹介します。同点で二名でした。

  黄昏時         大箭佐代子(三席)
  銀座の交差点
  西の空の夕焼けを見る
  何故か切なかった
  青春のあの頃

  衣替え         武藤義子(三席)
  ズボンの丈
  また 伸びた
  縮んだ私
  姿見の中



[36] 『五行歌』七月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月18日(日)10時51分23秒 p8783149-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:旅 人

 五月十日(月)
 歌会の会場、池上会館が緊急事態宣言で使用不可となり、急遽、紙上歌会鑑賞会にしました。自作品と自作品のコメントを纏めて十三名の手元に送りました。
 しかし、コロナ禍でも、何とかリアル歌会に近づけないかと考え続けました。幸い、皆さんがスマホをお持ちでWi-Fiの環境も整っていることが分かりましたので、「池上ライン歌会」のホームを作ることにしました。
 十日の夜、七時から九時まで、ライン歌会を開くことができました。多少の手違いはありましたが、ライン初心者も含めて無事に終えることができました。会場が使用不可でも、歌会を開くことができると知ったのは大きな収穫でした。

 皆さんの作品を紹介します。

  テレワーク様式は/仕事の無駄な所を/削ぎ落してしまった/本当に人間関係に/無駄は不要なのか
                                       雅蘭洞

  私は何処から来て/何処へ行くのか?/いのちの/砂時計が/減ってゆく    沙 羅

  季節に/無関心でいないと/価値を創れない/四角い画面/ばかり見ている   大島健志

  これから咲く/ツボミは摘まぬよう/パンジーの花がらを/老いた花を/摘む  紫かたばみ

  汝/火の子/水の子/浄*の女*/自ら浄まるものであれ  *きよめ *むすめ  一歳

  光が射し込む/林の中/小さな野の花に/蝶々が/そっとキスをする      玉井チヨ子

  家来が/居なくなったのに/王様は/まだ/気付いていない          旅 人

  夏日のファミレス/離婚届に/早くサインをと!/友人の亭主を/追いつめている  観 月

  旧友の便り/途絶えし悲しみと/新友とゆう/新しき友を得た/喜びが交差する  大箭佐代子

  探していた/言葉 見つかった/絡まった糸が/解*けた/一瞬に似て  *ほど  武藤義子

  お雛様と愛でた/ミニガーベラ/お礼肥で緑葉繁り/花芽が五本/嬉しい五月の花春  守野純子

  墓参り/砂利道に躓く/支えた/見えぬ手/誰                  髙馬和子

  昨日の今頃いらしてちょうだい/だなんて/室生さんたら。/後戻りしたところで/
  会いたかった私がきっと いる                         コバライチ*キコ



[35] 『五行歌』六月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月18日(日)10時13分2秒 p8783149-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:武藤義子

 四月五日(月)
 桜の花も散り、葉桜へと変り始めました。今回もフェイスシールドとマウスシールドを使い、出席者八名で歌会を開くことが出来ました。自由詠一首、題詠「さくら」一首です。

 自由詠

  少年はあの日     大箭佐代子(一席)
  海で母を亡くす
  その海で漁師に
  そして父になる
  響け希望を未来へ

 出だし一行目がインパクトがある。漁師になった心がよく出ている。作者は東北震災から十年、悲しみの海でたくましく生きていこうとする青年の姿をテレビで観て、この歌を詠んだと語りました。

  天に          髙馬和子(二席)
  向かって
  萌え立つ
  欅
  春爛漫

 短く簡潔にリズムになっている。萌え立つ様に春の息吹が出て良い。作者はコロナムードを払拭し、春の喜びを欅に託して詠んだと語りました。

  夜桜に人影なく      武藤義子(三席)
  桜の精に
  心震え
  思わず手を合わせた
  一本のしだれ桜

 「手を合わせた」に、作者のしだれ桜に対する思いがよくわかる。作者は二十数年前、京都の円山公園のしだれ桜に心引かれた。

 題詠「さくら」棒書きで三席まで紹介します。

  宵闇に/朧に浮かぶ桜/引き込まれ/いつしか私は/西行の歌の中に    武藤義子(一席)

  パッと咲いて/パッと散る/潔さ/哀しさ/戦時下の櫻          大箭佐代子(二席)

  花びらが/ころころ と/坂をころがり/またひとつ/年を重ねて下る坂  玉井チヨ子(三席)



[34] 『五行歌』五月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月18日(日)04時02分56秒 p8783149-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:紫かたばみ

 三月一日(月)
 梅の花や沈丁花の香る道をたどり池上本門寺隣の会館で、九名が集いました。

  蕗みそを      玉井チヨ子(一席)
  作る楽しさ
  食べる嬉しさ
  季節は巡り
  春がきた

 季節感とリズム感のある歌。蕗みそには春が来たと感じる喜びがあります。

  十年過ぎて     旅 人(二席)
  尚
  余震が続く
  傷む心は
  なお

 尚となおの使い分けが上手い。寄り添う心があります。作者は二月十三日の地震が東日本大震災の余震と知り驚愕しました。被災者の方々の辛さ思うと胸が塞がります。

  幾つもの      武藤義子(三席)
  豆雛
  そっと 取り出す
  しっとりと
  心華やぐ

 豆雛は、段飾りのような華やかさはないが、それぞれに思い深くしっとりと華やかです。

  赤い指さき      大箭佐代子(三席)
  老い衰えに
  逆らいて
  お洒落は
  私自身の印し

 お洒落は自分の為、身だしなみは他人の為と赤いネイルで女を楽しむ作者です。

 題詠「道」の一から三席です。

  角を曲がると/風が変わる/光が変わる/私も きっと/変わる    旅 人(一席)

  自由への/道づれは/孤独/荷物は/最小限             沙 羅(二席)

  文箱から 沈香*を/母を偲んで/焚いて 聞く/静寂のひととき/香の道  *じんこう
                                   髙馬和子(三席)  



[33] 『五行歌』四月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月18日(日)03時25分38秒 p8783149-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:守野純子

 二月一日(月)
 紅梅咲き始め、コロナ自粛時の中、お元気な皆様七名の出席で雅蘭洞さんの司会で開始。歌会終了後、欠席歌三名の作品を朗読。

 自由詠

  涙は       沙 羅(一席)
  胸の
  奥に
  音もなく
  落ちる

 短い言葉に何とも言えず形が美しい。悲しさ余韻がある歌。良寛さんの書で、君看双眼色 不語似無憂を思い出すと。
 作者は、若松英輔さんが「本当に哀しいとき、涙は頬を伝わらない」と言われた言葉に感銘と共感を得て生まれたと言っていました。

  快晴の冬空が     武藤義子(二席)
  悩み不安を
  吸い取って
  一時* 私は    *いっとき
  真っ新らになる

 冬のきれいなそらに吸いこまれて行く気がする。生き直す気がする。決め手は、真っ新らと一時。
 作者は、高く澄んだ大空を見ていると、空の持っている無限の魅力を感じないでは居られないので詠んだと語っていました。

  思いと言葉が     旅 人(三席)
  重なりあう
  音を探す。
  時間は
  ある

 「音を探す。」丸が生きている。職人の様なとっても深い歌にかける時間がある。
 作者は、思いと言葉とリズムが重なりあう歌を模索しつづける日々を詠みましたと。

 後半は、題詠「夢」を鑑賞。

  彼岸から/笑いながら/手を振り 弟は/「楽しそうで良かった」/ぽっかり 白い雲
                                 旅 人(一席)

  ふと/生まれる前の/魂に戻る/人生は/邯鄲の夢        沙 羅(二席)

  私は/何かを/なくした/それは/夢か             雅蘭洞(三席)

 邯鄲の夢の意味を雅蘭洞さんがお話され、とても意義深い歌会でした。



[32] 『五行歌』三月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月17日(土)22時09分2秒 p8783149-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:旅 人

 一月十一日(月)
 午後から霙の予報の寒い日でした。新しいフェイスシールドとマウスシールドを使用し手の消毒もしてから、出席者七名で歌会を始めました。幸い、会場に近い方が多いので通常歌会を開くことができましたが、遠方の方は欠席歌となってしまいました。コロナの早い収束を願ってやみません。自由詠一首、題詠「コロナ」一首で歌会を始めました。
 自由詠

  崩れそうな骨を    旅 人(一席)
  そうっと掴む
  命を使い切った
  百一歳の
  素晴らしき最期の姿

 「素晴らしき最期の、命を使い切った、そうっと」の表現に、亡くなった人への愛情を感じたと高得点でした。百一歳で亡くなった義父の骨の脆さに驚いて、見事だなと思い詠みました。

  キャンバスから    沙 羅(二席)
  明度と彩度が消えた
  あなたが逝ってから
  人生の色は
  無彩色

 あなたは何を指しているのか? 夫、子供、青春等々盛り上がりました。作者は大切な文学仲間を喪った心象風景を詠んだと語っていました。

 紙面の都合で三席は作品を縦書きで紹介します。

  すがすがしく/身も引き締まる元旦/遠い日のこと/去年* 今年/感慨は年毎に薄らぐ  *こぞ
                                  武藤義子

  盧生は夢に見た/栄枯盛衰の一生/夢には非ずして/現実ではないか/夢と思っただけ
                                  雅蘭洞

 題詠「コロナ」。縦書きで三席までご紹介します。

  正月に/廊下を走る/防御服/後ろ姿に/後光さす     髙馬和子(一席)

  みんなで/食事をすると/おいしいね…と孫/普通のことが/幸せだと気づく  玉井チヨ子(二席)

  コロナなる/魑魅魍魎が/跋扈して/試されている/人間の尊厳    沙 羅(二席)

  うちつづく/しゃばのコロナに/年も過ぎ/のべに花咲く/春になりけり   雅蘭洞(三席)


  



[31] 『五行歌』二月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月17日(土)15時26分7秒 p8776221-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:旅 人

 十二月七日(月)
 本門寺の桜も葉をすっかり落とし、冬の青空にスッキリと、どっしりと裸木をさらしていました。新しい出席者が加わり九名で歌会を開きましたが、同点一席は武藤義子さんでした。今月から、出席できない方の欠席歌も受け付けることにしました。

  記憶の襞に     雅蘭洞(一席)
  埋もれた
  青春の残滓
  その輝き
  今も煌めく

 言葉の使い方がすばらしい、残滓と言い切って、次へ続く流れが見事、記憶の襞に惹かれたなど好評でした。作者は、欠礼葉書で学生時代の友の死を知った。若く輝いていた時を思い出して詠んだと語っていました。

  今更ながら…     武藤義子(一席)
  八十路を過ぎ
  友の急死重なりて
  生きることを
  いとおしむ

 コロナ禍で、生きていくことを再認識したわが身のことを詠んでいるような気持ち、「いとおしむ」に共感したなどの評がありました。作者は、入浴中に亡くなる友が続いて、暮らし方を考えてみたそうです。

  失いし        大箭佐代子(二席)
  愛しきもの
  子等が育ちし棲家
  戦友だったあなた
  左の乳房

 作者の気持ちが作品に溢れている、同性として共感した。「棲家」が良かったの評がありました。初めての五行歌で二席は見事でした、作者は、家も夫も乳房も失ったけれど、悲観的に思ってはいない半生を詠んだと語っていました。

 三席は紙面の都合で、縦書きで紹介します。

  錦の絨毯/サクサク/気分は深山の/紅葉狩り/るんるんサクサク
                                春 蘭(三席)

 歌会の後、本誌から各自が三首選をして鑑賞しあいました。
  



[30] 『五行歌』一月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月17日(土)14時47分37秒 p8776221-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:大島健志

 十一月三日(火)
 通常は第一月曜日開催だが、祝日開催ということで、初参加のいわさきくらげさん、羽田怜花さんを含め、十五名の方が集まり、賑やかな会となった。高評のお歌を紹介する。

  いつか       宮川 蓮(一席)
  誰かの真心
  こんなにも時を経て
  届くことがある
  打たれることがある

 「こんなにも」が切ない。胸にずしんときた、昔言われていたことが時を経て腑に落ちることはあるので共感した、といった評。作者は、「思い出の品を整理していた時に教師時代にもらった寄せ書きの中の言葉を見て感じたことを書いた歌です」とのコメント。

  長い長い雨が      田川宏朗(二席)
  止んだら
  街にくりだそう
  握手交わし
  声あげて

 コロナ禍が終わったらこの歌みたいにしたい、握手を交わすより抱き合いたい、コロナ禍が落ち着いても実現できない可能性もある、といった評。作者は、「雨はコロナの比喩です。これを願っているが、たしかに実現できない可能性もある」とのコメント。

  みんな ぬくもりを    大島健志(二席)
  傍においておきたい
  かわいくて
  扱いやすい
  ぬくもりを

 「ぬくもり」に惹かれた、とてもドキッとした歌、全体的に皮肉を感じる、といった評。作者は、筆者です。小さい子どもやペットを蝶よ花よと可愛がる人は多いが、そうした風潮に疑問を持って書いた歌。

  正月の駅伝は     羽田怜花(三席)
  どっちの大学を
  応援しようと
  テレビの前で楽しげに迷う
  オトンの姿はもうない

 五行目の「オトン」が響く、淋しい気持ちもあるがどこかユーモラス、懐かしさと悲しさが同居している、といった評。作者は、「父が今年亡くなった。私の大学が学部と大学院で違い、どちらも箱根駅伝の常連大学だったので、その思い出を書いた」とのコメント。

 歌会後は、十一月号の田川さんの特集『チャレンジド ウィズ コロナ』についての感想を述べ合う時間も設けました。



[29] 『五行歌』十二月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月17日(土)14時16分56秒 p8776221-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:旅 人

 十月五日(月)
 フェイスシールドを付けるのも手馴れてきたコロナ禍の歌会が始まりました。先月、見学にいらっしゃった方が、見事、三席に入りました。紙上歌会に初参加されていた方もリアル歌会の緊張感を楽しんでいたようです。休憩タイムで飲む喫茶店「豆豆」の珈琲が懐かしい。

  胸底に        旅 人(一席)
  共鳴する
  微かな
  音
  出会いの始まり

 皆さんから点が入りました。言葉にしにくい思いを「音」と捉えたのが良い、「音」一文字の力が光っている、シャンソンの「パダンパダン」と共通するものがある等の評。作者は、素晴らしい人との出会いがあって、それを歌にしたいと願い歌が生まれました。心のアンテナを磨き続けることが出会いに気づくのではないかと語っていました。

  嵯峨野の       雅蘭洞(二席)
  庵に翁あり
  黙々として
  面をつくる
  秋や深し

 まるで古典の世界、これぞ五行歌、竹林の風を感じる、『修禅寺物語』のようの評がありました。作者は、六十年前、嵯峨野で出会った和紙で作る面作りの翁を詠んだと語っていましたが、面が仕上がる前に亡くなってしまったそうです。翁の素晴らしい巻紙の手紙を持参されました。

 紙面の都合で、三席の二名は棒書きで紹介します。

  ワイングラスを傾けながら/葡萄がワインになるまでの/芳醇なる時を思ふ/わが思ひも形になるまで/
  静かなる葡萄でありたや                        沙 羅(三席)

 「寝かせておくと良い歌になる」先月、出席された岡田道程さんの言葉に共感した作者は、急ぎ過ぎる自分への願望を詠んだと語っていました。

  思いは/あるはず(と思いたい)/それを表わすのが/コトバ/ではない夫*   *ひと
                                     紫かたばみ(三席)

 作者は、( )で心の叫びを表わし、片仮名でコトバを強調したかったと語っていました。



[28] 『五行歌』十一月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2021年 7月17日(土)13時38分24秒 p8776221-ipngn21002marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:紫かたばみ

 九月七日(月)
 台風十号の影響で、時おり激しい雨の降る中、めげずに八名の会員と見学の大箭佐代子さん、萩原康子さんの十名が集いました。

  一糸まとわず    玉井チヨ子(一席)
  モデルとなり
  無言館で
  今も待っている
  愛する人を

 一糸まとわずの出だしで出征した人への一途な思いが伝わります。愛する人を待ち続ける恥じらいと決意の表情の乙女の絵。作者は数年前、無言館で絵を見てあまりに強烈で歌にできなかったが八月のテレビ番組見てやっと歌になりましたと。
 二席の歌が、なんと五名。三席と共に歌の紹介のみで失礼します。

  ベニスの水路に/午後の日差しが/照り映えるころ/古びた壁に響く/狂人のテノール
                                  雅蘭洞(二席)

  水があって土があって/木があって風が吹いて/てふてふが たかくたかく/梢の先まで舞い上がり/
  音もなく秋が降りてきた                     旅 人(二席)

  地には/累々たる言葉の骸*/バベルの塔のごとく/今にも/天の怒りを買いそう   *むくろ
                                  岡田道程(二席)

  盗み見る/あなたの横顔/マスク外して/お茶を飲む/赤い唇に ドキッ
                                  紫かたばみ(二席)

  異国語が飛び交った/外国子女の通学路/緑陰の坂道/今 蝉時雨の元に/猫眠る
                                  髙馬和子(二席)

  自国への路/コロナで閉ざされて/「流人になった気持ち」と/ラインで/娘はつぶやいた
                                  武藤義子(三席)

 後半は、岡田道程さんの『星月夜』の鑑賞会を行いました。各自二首選びコメントし、それに作者が作った時の思いを丁寧に解説し、また作った歌を半年は寝かせて醗酵させてからもう一度推敲します等の、歌作りの秘訣まで、惜しみなく披露してくださいました。十名ではもったいない話でしたが、十名だから濃密な鑑賞会でした。



[26] 『五行歌』十月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2020年10月 3日(土)11時45分3秒 p8542216-ipngn42801marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:旅人

 八月紙上歌会
 八月こそ通常歌会を! と広い会場を予約して歌も纏めて八月三日(月)の歌会を待つばかりとなった。忘れもしない八月一日。「二日続けて東京の感染者数は四百人を越えました」とニュースが流れた。「出席します」の明るい声に救われたが迷い続けた。そして、紙上歌会に変更をした。新型コロナは夏の暑さと湿度に弱いと巷の噂があったが、猛暑でも収まる気配はない。
 今回はコロナ禍の歌会のあり方を考える良いきっかけになった。十月からは、少人数を生かして広い会場でフェイスシールドを配布して通常歌会を開くことにしました。
 紙上歌会はコメントを書く楽しみ、じっくり読む楽しみもあるけれど、やはり言葉の応酬のあるリアル歌会に勝るものはないと思う。

  胸底の小部屋に   平井千尋(一席)
  ピースの
  欠けた
  絵を飾って
  生きている

 一片の欠片は、全てのピースに拮抗する力がある、胸の奥の絵には何が飾られているのか等々。作者は失ったピースはもう戻らないと涙するときがあると語っていました。

  思い人が待つ    玉井チヨ子(一席)
  都へと
  古人*も歩いたか   *いにしえびと
  夕暮れの
  きぬかけの路

 格調ある抒情的な作品、「古人・きぬかけ」に惹かれた等々。作者は一人旅で日暮れの心細さを古人に重ねたそうです。

  誰を生かすのか    コバライチ*キコ(二席)
  決めるのは神か
  医者なのか
  わたし 生きられそう
  なんて 思う夕暮れ

 パンデミックにこそ問われる命の選択、作者の生への力を感じた等々。正常性バイアスの高い作者は、コロナ禍の中、命の選択は誰が? でも生きられそうと。

  ゆっくりとまばたきしたら   紫かたばみ(二席)
  消えていそう
  セミの声だけする
  真昼の公園で
  一人遊ぶ子

 真夏、真昼の公園、異界の扉が開いたかのよう、キリコの絵の様なシュールな映像等々。作者は、真夏の静かすぎる公園で、黙々と一人遊ぶ孫といたら異空間の感覚になったそうです。
  



[25] 『五行歌』九月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2020年10月 3日(土)11時12分58秒 p8542216-ipngn42801marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:守野純子

 七月六日(月)
 三ヶ月ぶりの歌会、紫かたばみさんの司会で開始されました。コロナ自粛生活の近況から、三密と外出をさけて、家でコロナ太りされた方が多かったです。

  心って      髙馬和子(一席)
  なに
  そうだ
  喜怒哀楽の
  収納袋

 心ってなに? 永遠のなぞ、脳にあるのか? 心と意志、精神的に良い分析、収納袋の表現が自由自在で納得する。

  梅雨空に     旅 人(一席)
  水玉 ストライプ 江戸小紋
  人混みを縫うように
  カラフルマスクが
  街を行く

 シェルブールの雨傘を思い出した。今コロナの現状をサッと美しく切り取って歌にされている。江戸小紋が入って落ち着いた。

  もの思うことに    紫かたばみ(二席)
  ストッパーかけて
  生きてきた
  わたしの歌の
  まぁ 平凡

 いろんな思いをつきつめて生きると、生きにくいのでストーッパーをかけている。
 良い人生が行間に全部入っている。平凡でなく、非凡な良いお歌がいっぱいある。

  ミュッセやショパンには   雅蘭洞(三席)
  聖女と讃えられ
  ボードレールには
  淫売と罵しられ
  評価の別れ道とは

 人名を出すことで、具体的にイメージできる。自分の思いをキッチリ言わないで、読手のイメージにおまかせする。別れ道の表現が良い。人間の評価はいろいろである。
 月刊誌六月号から好きな歌各自三首等を皆で鑑賞した。
 



[24] 『五行歌』八月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2020年 8月 3日(月)05時06分59秒 p2536030-ipngn21801marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:旅人

 六月一日(月)紙上歌会
 中国では青空が見えて、ベネチアの水が澄んできたとニュースが伝えていました。
 コロナ禍で籠る暮らしになってしまいましたが、大作を読む機会と捉えると気持ちが楽になります。紙上歌会も三回目、皆さんのコメント力も増して読み応えのある歌会となりました。参加作品は十六首。コメント数の多い作品を紹介します。

  「自分を貫け」     観 月(一席)
  の言葉を胸に
  私は
  私の
  薔薇を描*く   *えが

 「薔薇」が良い、刺も太くなるのでは、強い思いが伝わってくる、自分だけにしか描けない薔薇は人生そのもの等々好評でした。作者は、岡本太郎氏の言葉を拝借し、他者に左右されない思いを大事にしたいと。

  流れは        明槻陽子(二席)
  緩やかに大胆に
  変わってゆくのだ。
  連続していると
  見えづらいが

 水の流れを普遍的な真実にとらえている、川のようでも政治情勢のようでもあり比喩となって重層性がある、俯瞰的な眼差し等のコメントが多数。作者は、歴史を振り返った時、分岐点はあそこだったと気づく、淡々と毎日は過ぎているのですがと記していました。

  なぜ、あなたに旅ができ      平井千尋(二席)
  私が物乞いをしなければならないのか
  昔、アフリカで出会った
  少年の大きな瞳に
  問われ続けている

 世界の格差と現実を問われ続けている、答えられる自分になるために何ができるのか、自分の日常は不均衡の上にあって、奪う側にいると実感するなどの評でした。作者は「後進国」と呼ばれる国の少年の真っすぐな瞳が忘れることができないとコメントしていました。

 紙面の都合で三席は歌のみ紹介します。

  今日/五十七歳になる/僕は/「新人類」/だった   憂 慧(三席)



[23] 『五行歌』七月号歌会レポート

投稿者: 一歳 投稿日:2020年 7月 2日(木)08時16分33秒 p5521222-ipngn11202marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp  返信

レポート担当:旅人

 五月四日(月)紙上歌会
 街は緑で溢れているのに、マスクが日常となってしまい花の香を聞くこともできません。今月も紙上歌会となりました。参加者は十二名です。

  下心は        紫かたばみ(一席)
  闇に溶かし
  美しさだけ
  ライトアップして
  夜の薔薇の色香

 薔薇が咲き誇る季節にぴったりの歌、「下心は/闇に溶かし」の表現が見事で妖しい雰囲気を醸し出していると好評でした。作者は、大船フラワーセンターの夜のバラ展で見たバラが、昼と違った美しさだったので感激して詠んだと記していました。

  ひたすらな思いは    旅 人(二席)
  受け取らなくては
  いけません
  正か悪かは
  どうでもよいこと

 歌に同感、引き受けるのは人間の器量、ありきたりでない価値観に惹かれた、思いを受け取るなら危険も覚悟しなければいけない等々。作者は、人は思うように生きられない。せめて、思いだけは受け止めるようにしたいと歌にしました。

  コロナウイルスで    雅蘭洞(三席)
  株価暴落倒産失業
  ベニスの水は澄み
  北京に青空が戻り
  地球に清浄が蘇る

 コロナ禍の一面をつく歌、各行八字に収め二行目は漢字のみで技あり、人の動きが止まって戻る自然は皮肉。作者は、利己的資本主義経済学は終焉して利他的経済学の時代が来たと記していました。

  ひとのこころ    コバライチ*キコ(三席)
  花は知らずや
  突き上げる春の息吹
  そのままに 咲く
  咲く 咲く

 「知らずや」文語的表現が良い、咲くを三回重ねたのが印象に残る。作者は、花は愛でられている意識もなく、春が来れば花開く、その本能の不思議と記していました。


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