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  • 作品評(10月号)

  • 投稿者:大島 健志
  • 投稿日:2018年10月24日(水)21時08分1秒
  • 110-232-30-121.fnnr.j-cnet.jp
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いつ寝てもいい
何食べてもいい
勉強しなくていい
老人最高
しかし愛を忘れてしまった

北風 徹
71p.

 昔懐かしい「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌を思い出す。学校も会社もないオバケと老人とが重なる。とびきりの自由の代わりに、愛を忘れてしまったと歌う五行目がいい。自由さの描写と、「愛を忘れた」という表現から、作者はお一人暮らしなのではないかと想像する。自由を満喫する姿勢が小気味よい一方で、どこか空虚な気持ちや寂しさといった情感が滲む。味わい深いお歌だと思う。


会う人会う人の
目顔の中に
己の影を
探さずにいられない


山宮孝順
86p.

 「彼」が作者とどういう関係なのかは説明されていないため、色々と想像が膨らむお歌。会う人々の中に「己の影」を探さずにいられない人とは、どういう人だろう?会う人々に自分と似た部分を探してしまう人ということだろうか?それとも会う人々と接する中で、自分の悪い部分に気付いてしまうということだろうか?真相は作者のみ知る、ですが、何故かほっとけない感じのするお歌。


他人(ひと)と同じは
退屈
でも他人(ひと)と違うと
居場所がない
どう生きる

上田貴子
92p.

 皆が感じていることを上手に言い当ててくれたようなお歌。他人と同じは安心するし、楽ではあるけど、どこかつまらない。同時に、異質なものに不寛容な社会の窮屈さも読み込まれている。それでも、不十分ながら、昔に比べれば、生き方の多様性が認められるようになってきているのだと思いたい。自分を省みて、進んで孤立は望まないが、自分の心の声には正直で居たいと思う。


ポケットに
ハンカチを
服の下に
ぬいぐるみを
蹴られてもいいように

大貫隆志
102p.

 背景の説明が無く、必要最低限の言葉だけで歌われているところに真実味を感じる。いじめられっ子の身支度についてのお歌だと推察する。このお歌の主人公は暴力を振るわれる状況から逃避するのではなく、暴力に耐える道を選んでいる。その強い心に敬意を払う一方で、そうした状況から一刻も早く脱出する方法を模索して欲しいという気持ちで一杯になる。人生はあなたが思っているより複雑で豊穣だ。今居る場所が全てでは無いはず。


火宅の人だった
でも
彼女(はは)が
最後に呼んだのは
夫(ちち)の名

観月
115p.

 特集「似たもの父娘」より。心に迫ってくるようなお歌が並ぶ特集だった。ご家族の問題から目を背けずに、それらを真正面から歌いきったという印象。一貫して、父親に向けられる厳しい目線と、母親に向けられる悔恨の念が感じられる。両親の強い結び付きを目の当たりにした作者ご本人の胸に去来した気持ちを想像すると、胸が締め付けられる。


あゝ そして誰もが
いつか別離の理不尽さを
ほぐされているのだ
「死者」という慰藉
かなしみを癒すかなしみ

柳瀬丈子
122p.

 作者ご本人の身の回りに起きたことを知っている者としては、見過ごすことのできないお歌。四、五行目に感服させられた。誰かの身に起きた別離に触れることで、自分自身に起きる、あるいは起きた別離の心構えをしたり、傷を癒されたりする。確かに私達は、そういう風にできているのかもしれない。


娘と美術館を巡る
作品に見入る
後姿のつつましさ
母の哀しみなど
分からなくていいんだよ

松山佐代子
186p.

 三行目の「つつましさ」が良い。この表現が娘さんの魅力を非常に効果的に伝えていると思う。母の抱える哀しみが、娘さんによってもたらされるものなのか、それとも娘さんには苦労をかけたくないという想いの歌なのか、そこまでは読み切れなかったが、母と娘の穏やかな交流が伝わるお歌。


魚にはなれず
両生類として
あなたに
飼われたことがある
汚れた水辺を好む

紫野 恵
187p.

 魚とは?両生類とは?いったい何の比喩でしょうか?3~5行目も実に意味深。ハテナマークだらけの人を煙に巻いたようなお歌だが、抗いがたい妖しい魅力があり、どうにも心惹かれてしまう。


ただただ
腐るばかりだ
心許なき
ひとりの
根元は

金沢詩乃
194p.

 ご自分のお一人での生活についてのお歌だろうか。一人で暮らしていると、「どうせ困るのは自分だけだから」とついつい色々な面でズボラになりがちである。ただ、五行目で「根元」とあることから、このお歌はそうした生活面での変化だけではなく、もっと人間として根本的な部分が変質してしまう恐怖のようなものを歌っているように感じられる。


骸(むくろ)を
喰(は)んだら
ええ五行歌
出来(でけ)ん
ねんて

陽湖
209p.

 禁忌のような五行歌の本質に光を当てたお歌だと思う。喪失を体験した人が書いたお歌には、確かに名作が多い。作者は、そうした名作について少々食傷気味ということなのか、それとも自分もそうした名作を書いてみたいと思っているのか。関西弁で書かれていることでお歌に不思議な迫力が出ていると思う。「骸」や「喰む」という表現も効いている。


ヤル気が出なくても
いかに
やるべきことができるか
突き詰めるのは
そこだ

作野 陽
288p.

 ヤル気がある時に頑張るのは確かに誰でも出来る。真価はヤル気が出ない時にこそ発揮される。筆者はヤル気が出ない時は割とすぐに何もかもを投げ出しがちだが、作者もそういう弱い自分を認めてそれと向き合う覚悟を歌にされている点に大いに共感した。


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